たしかめるように

たしかめるように。 絶望の淵に立ちなかを覗くと、そこには、当たり前のようにささやかな日常がありました。私は、世界にとって唯の細胞でありたい。

消えた屋台と、未来のはなし

こんばんは、ノセルミです。

今日は用事があって、大消費地・博多に行ってきました。
慣れない地下鉄に酔い、人に流され迷い、やっとの思いで地上にでると、そこには煌びやかなビル群の狭間で所狭しと並ぶ屋台があって...。



さて、今夜は、
「わたしが愛する屋台」の話をさせてください。


わたしは、70年近く北九州・小倉の夜を彩っていた おでん屋台で  3年間働いていました。

「はる屋」というお店です。

屋台というものには様々なイメージが抱かれていると思いますが、「はる屋」はとにかく地元の方に愛されて、70年の時を重ねることができた屋台だと感じています。

おでんの湯気のせいだけではないその温かい空気と、どこか神秘的な佇まいに惹かれてバイトを始めました。



わたしがお世話になったのは、
はる屋3代目の
通称 おいちゃん と おばちゃん 。

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この2人と喜怒哀楽すべてを共にしながら、まだ今のわたしでは取り零してしまうほど沢山の「大切なこと」を学びました。



実は、おいちゃんとおばちゃんは、よくケンカをしていました。
性格も、考え方も、きっと生き方も、真逆だったのだと思います。
 

おいちゃんは、
毎晩のようにこう言いました。
「俺たちはおでんを売ってるわけじゃない」
「分かるかぁ、ルミ。お客さんはな、おでんじゃなくて 人につくんだよ」

おばちゃんは、
片付けをしている時によく言いました。
「わたしはね、おでんの味と食材にはこだわってるの」
「自分が本当に食べたい、食べさせたいと思うものしか作りません」



12席のカウンターは、
完全においちゃんのものでした。

おいちゃんは、そこに座った人ひとりひとりと向き合い、それぞれの話を引き出し、時に親父ギャグや小ネタで笑わせながらも、最後はお客様同士の話を繋いでいきます。

屋台のおでんを食べに来たのに
「楽しい」「美味しい」だけでなく、その場のみんなが新しい発見やちょっとした感動を持って帰っていくことも多くありました。

どこぞの会社の社長さん、近くに住むホームレスの人、商店の人、学生、教員、会社員、バンドマン、劇団員、ストリッパー、スナックのママ、小さい子連れの家族、人生相談をしに来る人、くだらない話をしにくる人ー。
たくさんの人が、「おいちゃんのいる空間」に参加することを求めに来ていました。



店について語る人のほとんどは、「はる屋」の魅力=おいちゃんでしょ?と言います。

けれど、それだけではないことも、わたしは知ることができました。

「冗談がきかない」と自他共に認めているおばちゃんが指揮して作る おでん・おはぎ を食べに、北九州を巣立った人が何度も何度も帰ってくること。
仕事帰りで疲れたお母さんたちが、「ここのおでんは安心して子どもに食べさせられるから」「子どもたちが好きなんですよ〜〜」と言って、お持ち帰りしていくこと。

愛情を込めて、誠実に、こだわって作られたものが齎すことです。



この2人がいる「はる屋」に
地元の人の居場所が在りました。

自分を受け入れてくれる、楽しい居場所。
生活の一部に組み込まれている、居場所。



ですが、今はもう何処にも在りません。

昨年おいちゃんが急逝したことに続き(それが直接の原因ではないですが)、先月「はる屋」は暖簾を下ろしました。

わたしは、80歳を超えるおばちゃんが、お店を閉める最後の最後に呟いた言葉が胸の奥にこびりついています。
「まだまだ、やるつもりだったんだけどねぇ。」




ー 終わりは、はじまり。


これからの未来にこそ必要な、「はる屋」が教えてくれた大切なことを遺していかなくてどうする!

ということで、わたくし、
ここ津屋崎の地で
「はる屋」の味と想いを継ぐ店を開くことに決めました。

驚くほど偶然のタイミングで、場所と機会を頂きました。温かく力強く応援してくれる方たちに、恵まれました。

休学する1年間を津屋崎でつくっていくと決め、そして今回のこの話。
これはもう偶然ではない...と思わずにはいられません。

「はる屋」3代目の2人から学んだ大切なことをしっかりと受け継ぎながら、自分なりに新しい色も加えて、未来に向けて温故知新でやっていきたいと思います。



屋号は、「はるみ屋」
8月1日(月) 11時 開店です。

開店といっても実は週一営業で、
【月曜日のみ】11時〜16時の営業となります。
わたしが津屋崎にいる 3月までの期間限定です。

ランチ営業ということもあり、大鍋から選ぶ形式ではなくセットとして決まったおでん具材をご提供することをご了承ください。

場所は、曜日ごとに店主が変わる楽しい古民家カフェ「カフェ&ギャラリー古小路」というところ。


夏はオリジナルの ”冷やしおでん” をお出しします。
秋以降、「はる屋」のあの味をしっかり継げたらいいなと思っています。
今はおばちゃんの元で絶賛修行中です。笑
 


ぜひ、いつかの月曜日に
お話しましょう〜(^-^)

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