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吸学のしるし

吸学中の、大学4年生です。キャンパスで学ぶことを休んで、本物の世界から学びを吸いこもうと津屋崎にやってきました。感じるままに、記していきます。

いつかの仮面舞踏会

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「今宵は、仮面舞踏会よ」
ある淑女が、教えてくれた

あれでもないこれでもない
悩んだ末、棚からひとつ仮面を出して
そっと顔に添えてみた
燦めく衣装と靴で身を纏い、浮き足だって家を出た


「明日も、仮面舞踏会があるらしい」
踊りの余韻が残る中、ある紳士が呟いた

明日はどんな仮面を着けよう
決められずに迷っていたら、いつの間にか鳥が鳴いた


あわてて日課の日記を書こうと
手帳を開く

「今日は仮面舞踏会に行った。」
おとといの欄に、そうあった



日が沈んで月が昇った

踊りながら
「あなたはどんな人ですか?」
声の優しい青年が、尋ねてきた
「わたしは隣の国の姫です。」
咄嗟に口から、滑りでた
 
仮面が少し重たく感じて
ズレないようにと片手で支えた


家に帰ってかかとの高い靴を脱ぎ
締め付けてくる衣装をほどいた 

仮面をしまうために棚を開けると
そこには色とりどり、形さまざまな仮面が詰まる

なぜだか急に怖くなって
そっと扉を閉めてしまった
  
寝る前に、
顔を洗って鏡を見たら
曇って顔は見えなかった



長い夜が明け
隣人から報せがはいった
「隣の国の姫が、婚約したらしい」

...そうか。
ああ、そうだった。



        ”本当のわたしは、だれなんだろう?”

だんだんと分からなくなる
分からなくしている
わたしたちの仮面舞踏会


今夜も、またー。



或る時代、
或る街で生きる、
あの子のはなし。